電子レンジの仕組み なぜ温まる?
いつも私たちが何気なく食べ物を温めるときに使う電子レンジとはどのような原理で動いているのでしょうか?
ここではまずどのようにして食べ物が温められているのかを見ていきましょう。
電子レンジの歴史
電子レンジはどのようにして生まれてきたのでしょう。
電子レンジは軍事開発の過程で生まれました。軍の開発が発端として生まれたものは他にもサランラップやティッシュペーパー、缶詰め、腕時計などたくさんあります。
また、インタネットやパソコンなどもあるので軍事技術が転用されたからといって悪い印象を抱くという必要はありません。争いはいけませんがこれらによって私たちの生活は確実によくなっているのですから。
つまり技術は使い方次第ということです。
話がそれましたが電子レンジは軍事レーダーの開発実験中に起きた偶然によって生み出されました。
その偶然というのはアメリカのレイセオン社の技術者であるパーシー・スペンサー氏が誤って自分のポケットにレーダー用の電磁波であるマイクロ波を自身のポケットに当ててしまったのです。*1
そしてポケットの中にたまたま入っていたチョコレートが溶けていることを発見しました。
このことから電磁波を使ってものを温めるという電子レンジの開発が始まりました。
電子レンジの原理
ここには電磁波というものが関わってきます。
では電磁波とはどのようなものでしょうか?
電磁波
環境省では
電磁波とは、電界(電場)と磁界(磁場)が相互に作用しながら空間を伝播する波のことです。
東京電力では
電磁波とは『電界』と『磁界』が組み合わされたものです。
とされています。
正直何を言っているのか分かりませんよね。
具体例を出すと電気、太陽光、ラジオの電波、携帯の電波などです。
山奥に行ってここは「電波が悪い」と言っているのは「ここは電磁波が届きにくい」と同じことを言っているのです。
なんだか電磁波が身近に感じてきましたか。
電子レンジにもこの電磁波が使われています。
電子レンジの電磁波
ではどのようにしてこの電磁波がものを温めているのでしょうか?
電子レンジにはマイクロ波に近い波長の波が用いられておりその周波数は2.45Ghz(ギガヘルツ)です。*2
周波数とは波が一秒間に振動する回数なので2.45Ghz(ギガヘルツ)とは一秒間に2.45G回振動している波のことを言います。
2.45G(ギガ)とはどれぐらいなのでしょうか?G(ギガ)が「10億倍」という意味なので2.45G(ギガ)とは24億5千万という数字になります。
このことから周波数は2.45Ghz(ギガヘルツ)というのは一秒間に24億5千万回振動している波という意味になります。
このことからすごい速度で振動している波が電子レンジで使われているということが分かりますね。
水分子の極性
この周波数の電磁波は水に影響を与えやすいと言われています。つまり水に影響を与えやすいという性質を利用したのが電子レンジというわけです。
水分子はH₂Oなので水素が2つ、酸素が1つでできています。水素と酸素の結合の際にどちらも電子を1つ出して結合します。この結合を共有結合と言います。また2つの原子が出し合ってできた2つの電子の対を共有電子対といいます。
この時、実は互いに電子を出し合いましたがその電子は二つの原子の中間に存在しているというわけではありません。
そこには電気陰性度というものが関わってきます。
電気陰性度とはポーリングが実験によって測定した相対的な値で共有結合した際にそれぞれの原子が共有電子対を引き寄せる強さを表したものです。
酸素と水素では酸素のほうが電気陰性度が大きく共有電子対が酸素のほうに少し寄っています。
これは兄弟でゲーム機を半分ずつのお金を出して買ったもののお兄ちゃんのほうが多くゲーム機を使っているのと同じような状況です。
つまり酸素のほうが電子が近づき多くなりマイナスの電荷、水素は電子が離れていくのでプラスの電荷になります。
これを簡単に示すと電池みたいにプラスとマイナスなっています。これを水分子は極性を持つといいます。
水分子と電磁波の関係
電子レンジではマグネトロンという場所から電磁波が発生します。
マグネトロンとはマイクロ波を発生させることができる真空管です。
マグネトロンのことは正直わからないので気になったら調べてください。
マイクロ波は金属に当たると反射するという性質があります。電子レンジ内は金属でできているのでマグネトロンから照射されたマイクロ波は電子レンジ内で反射して全体に影響を及ぼします。
そして前述したとおり電子レンジで使用される電磁波は水分子に大きく作用する周波数の電磁波を使用しています。
水分子にマイクロ波が当たることにより水分子を振動させることができる。その振動により水分子が熱を帯び発熱することで食べ物は温まる。
この振動は非常に激しいものです。
たとえ話をしましょう。
学校で運動場に全校生徒が集まったとします。この時、生徒は集められただけなので仲のいい友達同士で固まったり、一人でうろうろしたり、みんな自由に過ごしています。つまり無秩序な状態です。
[この状態が普段の水の状態です。]
その運動場に校長先生がやってきて北の朝礼台の上に立ちました。皆さんはそのまま友達と話していますか。私はずっと喋っていました。しかし、この学校の生徒は違います。校長先生の話を聞こう校長先生が北の朝礼台を登るにしたがってだんだんとみんなが校長先生の方向を向いて整列しました。
[これが水分子に電磁波が当たった状態です。もっと詳しく言うと電磁波の中の電界の波が節から腹に変わっていったのです。水分子は極性があるので整列するのですね。]
その後校長先生が北の朝礼台から降りていきます。生徒たちは降りていくにしたがって整列して秩序正しかった状態から無秩序な状態へと変わっていきます。
[これが電磁波の波が頂点のところから0に変わっていくということです。正確にわかりやすく言うと電磁波の中の電界の波が腹から節に変化していくということです。]
そしてすぐに校長先生が南の朝礼台からまた登ってきました。普通ならなぜ朝礼台が北と南に2つあるのか、校長先生がなぜ北の朝礼台を降り終わった瞬間に南の朝礼台に移動できたのか、そしてなぜまた南の朝礼台に登るのか、たくさんの疑問が浮かびますがこの学校の生徒はそんなことは気にも留めません。校長先生が南の朝礼台に登るにしたがって無秩序な状態からだんだん南の朝礼台のほうに向いて整列していきます。
[これは電磁波の電界が節から腹に変化していくことを表しています。また今回の腹は先ほどとは反対側の腹です。つまり電界の向きが変わったということです。簡単に言うと上をプラス、下をマイナスとしていたのが上をマイナス、下をプラスという風に変わったという意味です。]
そして校長先生が登り終えた時には全校生徒が整列し、またすぐに校長先生が降りていきます。そして南の朝礼台を降りていくにしたがってまた秩序正しく整列している状態から無秩序状態に徐々に変化していきます。
[これも先ほどと同様電磁波の中の電界の波が腹から節に変化していくということです。]
そしてまた校長先生は南の朝礼台を降り終わったとほぼ同時に北の朝礼台から登ってくるのです。
これを繰り返すことにより生徒はくるくる回り、振動するので熱を帯び熱くなっていきます。
これと同じことが電子レンジ内の水分子にも起きているのです。
電子レンジのマイクロ波の周波数は2.45Ghzなのでこの具体例を一回として一秒間に24億5千万回行われているのです。
これが電磁波によって水が熱を帯びる原理です。
電子レンジのマイクロ波は水にだけ働く
電子レンジのマイクロ波は水にだけ働きます。*3なので同じ水分子で構成されている氷を電子レンジに入れても温かくなりません。*4
これは実験していないのでわかりませんが、はちみつも電子レンジでは温まらないと思います。はちみつは中に入っている水分が少なすぎるため細菌が繁殖することができず賞味期限が実質ないということは有名な話です。
つまり細菌が繁殖できないくらい水分がないのなら温まらないのではなかろうかというのが私の仮説です。
危険なので行動には移さないでください。どうなっても責任はとれません。
電子レンジに入れてはいけないもの
アルミホイルなどの金属
前述したとおりマイクロ波は金属を反射します。アルミホイルなどの金属を入れてしまうと計算上予想外の反射が起こり火花が出て炎が出ることがあります。
これは火が出るというのは実体験なので確実です。これは私がまだこのような知識がない中学生ぐらいの出来事だったと思います。
ぱちぱち鳴っていて魚をアルミホイルと一緒に温めていたので「魚の油がぱちぱちと音を立てているのだろう、よく温まっているかな?」と電子レンジを覗くとアルミホイルが燃えているのが見えてレンジを止めてすぐに開けました。すると焦げ臭いにおいがして火が付いたアルミホイルが現れました。息を吹きすぐに消し何事もありませんでした。
はじめてそのようなことが起きたので恐ろしかったです。
本当に危険なのでやめてください。
卵やピーマン、なすびなど
これらの特徴は膜の中に水が入っておりその水分を密閉している点にあります。
中の水が温められることによって水が蒸発しやすくなります。水は蒸発すると体積が薬1700倍に膨れ上がります。
そのことによりその内圧に耐えられなくなった膜が破れて破裂するのです。
破裂した場合電子レンジ内に飛び散る食材はもう目も当てられません。
対策は最初から膜を破れた状態にする。つまり密閉状態を作らないということです。
ピーマンやなすびは小さくカットすることや切れ目を入れることにより破裂することを防げます。
「料理は科学」
これは私の名言です。多分誰かが先に言っているでしょう。生まれてくるのが遅かったと悔やむばかりです。その名言の最たるものが電子レンジだと思います。この名言が広がることを願っています。
最後に、電子レンジは正しく使いましょう。